いっちの1000字読書感想文

平成生まれの30代。小説やビジネス書中心に感想を書いてます。

「放送禁止」シリーズの感想【「有田脳」と「しじんの村」】

「有田脳」と「しじんの村」

くりぃむしちゅー有田哲平さんのラジオ番組「有田脳」で、「放送禁止」という映像作品を知りました

「有田脳」では五十音順に、リスナーから募集した単語について、有田さんが語ります。

今回のお題は「え」。「映像」という単語で、有田さんが「放送禁止」を紹介しました。

「放送禁止」とは、放送禁止になった映像を再編集したという設定の、フィクションです

ドキュメンタリーのように撮られてるので、本当にあった話のように思います。

しかし、フェイクです。モキュメンタリー(フェイク・ドキュメンタリー)というジャンルがあるようです。

「世にも奇妙な物語」や「本当にあった怖い話」は、フィクションとして見ることができます。創作だとわかります。

一方、「放送禁止」はドキュメンタリータッチで描かれてるので、フィクションだとわかっていても、戸惑いました。

  1. 放送禁止になった素材はあるが、素材を編集したのがフィクション
  2. 放送禁止になった素材自体がフィクション

1(放送禁止になった素材自体はある)だと、思ったからです。

実際は、2です。放送禁止になった素材も、フィクションです。

2だと腹落ちしたとき、見る必要があるのかと思ってしまいました。

全て創作なら、「世にも奇妙な物語」や「本当にあった怖い話」と同じなのではないかと。

しかし、違いはあります。

ドキュメンタリータッチで描かれているところです。

フィクションだと知った上でも、放送禁止になったドキュメンタリーの素材があると想定して、放送禁止になった理由を探しながら見るのは、面白いです。

どの部分が放送禁止なのかという謎解き要素があります。

最終的に、シリーズ全て見てしまいました。

全部見たということは、面白かったということです。

特に面白かったのは、第5回の「しじんの村」です

「しじんの村」をインタビューするという映像です。

教え子が自殺してしまった教員が、山奥に「しじんの村」という集落を設立しました。

設立者は元教員で、名前が「しじん」です。

「しじん」は詩を書きます。例えば、

人が最も美しいとき

それは生と死の間

「しじんの村」に集まるのは、会社や学校の生活に適応できなかった人々です。

そんな人々と、バーベキューや農業をしながら生活します。

村には自殺志願者も多く、そんな人たちの手助けがしたいと、「しじん」は語ります。

なぜ、しじんの村の映像が、放送禁止になったかを考えるとき、ところどころにヒントが隠されています。

  • 張り紙
  • 持ち物
  • 人物名
  • 写真

隠されたヒントを手掛かりに、謎を解く面白さがあります。

また、「放送禁止」の全シリーズで流れるお決まりフレーズ、

事実を積み重ねることが必ずしも真実に結びつくとは限らない

が、わかりにくいので、考えてみます。

  • 事実を積み重ねる:映像をつなげる
  • 真実に結びつく:本当のことにたどり着く

「真実に結びつく」は、一見放送禁止にならないような映像でも、実は放送できない映像ということだと思います。

「事実を積み重ねる」は、撮った映像をつなげることだと思います。

つまり、

  • 撮った映像をつなげるだけでは、一見放送禁止には見えない
  • だが、よく見ると放送できない映像だった

これが、全シリーズに通じてるのだと思いました。

気になったのは、別のシリーズでの、張り紙や子供の発言です。

  • メニュー表の頭文字を読むとメッセージになっている
  • 絶対書かないような文字の習字が張られてる
  • 新幹線に殺されたと、無理矢理言わされてるような子供

これは強引(視聴者にベクトルが向きすぎている)で、創作が強すぎる(自然に見えない)と思いました。