「有田脳」と「しじんの村」
くりぃむしちゅー有田哲平さんのラジオ番組「有田脳」で、「放送禁止」という映像作品を知りました。
「有田脳」では五十音順に、リスナーから募集した単語について、有田さんが語ります。
今回のお題は「え」。「映像」という単語で、有田さんが「放送禁止」を紹介しました。
「放送禁止」とは、放送禁止になった映像を再編集したという設定の、フィクションです。
ドキュメンタリーのように撮られてるので、本当にあった話のように思います。
しかし、フェイクです。モキュメンタリー(フェイク・ドキュメンタリー)というジャンルがあるようです。
「世にも奇妙な物語」や「本当にあった怖い話」は、フィクションとして見ることができます。創作だとわかります。
一方、「放送禁止」はドキュメンタリータッチで描かれてるので、フィクションだとわかっていても、戸惑いました。
- 放送禁止になった素材はあるが、素材を編集したのがフィクション
- 放送禁止になった素材自体がフィクション
1(放送禁止になった素材自体はある)だと、思ったからです。
実際は、2です。放送禁止になった素材も、フィクションです。
2だと腹落ちしたとき、見る必要があるのかと思ってしまいました。
全て創作なら、「世にも奇妙な物語」や「本当にあった怖い話」と同じなのではないかと。
しかし、違いはあります。
ドキュメンタリータッチで描かれているところです。
フィクションだと知った上でも、放送禁止になったドキュメンタリーの素材があると想定して、放送禁止になった理由を探しながら見るのは、面白いです。
どの部分が放送禁止なのかという謎解き要素があります。
最終的に、シリーズ全て見てしまいました。
全部見たということは、面白かったということです。
特に面白かったのは、第5回の「しじんの村」です。
「しじんの村」をインタビューするという映像です。
教え子が自殺してしまった教員が、山奥に「しじんの村」という集落を設立しました。
設立者は元教員で、名前が「しじん」です。
「しじん」は詩を書きます。例えば、
人が最も美しいとき
それは生と死の間
「しじんの村」に集まるのは、会社や学校の生活に適応できなかった人々です。
そんな人々と、バーベキューや農業をしながら生活します。
村には自殺志願者も多く、そんな人たちの手助けがしたいと、「しじん」は語ります。
なぜ、しじんの村の映像が、放送禁止になったかを考えるとき、ところどころにヒントが隠されています。
- 張り紙
- 持ち物
- 人物名
- 写真
隠されたヒントを手掛かりに、謎を解く面白さがあります。
また、「放送禁止」の全シリーズで流れるお決まりフレーズ、
事実を積み重ねることが必ずしも真実に結びつくとは限らない
が、わかりにくいので、考えてみます。
- 事実を積み重ねる:映像をつなげる
- 真実に結びつく:本当のことにたどり着く
「真実に結びつく」は、一見放送禁止にならないような映像でも、実は放送できない映像ということだと思います。
「事実を積み重ねる」は、撮った映像をつなげることだと思います。
つまり、
- 撮った映像をつなげるだけでは、一見放送禁止には見えない
- だが、よく見ると放送できない映像だった
これが、全シリーズに通じてるのだと思いました。
気になったのは、別のシリーズでの、張り紙や子供の発言です。
- メニュー表の頭文字を読むとメッセージになっている
- 絶対書かないような文字の習字が張られてる
- 新幹線に殺されたと、無理矢理言わされてるような子供
これは強引(視聴者にベクトルが向きすぎている)で、創作が強すぎる(自然に見えない)と思いました。