第171回芥川賞受賞作発表
2024年7月17日(水)、芥川賞の受賞作が発表されました。
ダブル受賞です。
『サンショウウオの四十九日』は予想当たりましたが、『バリ山行』は外れました。
受賞予想はこちらです。
選評
選考委員の川上未映子さんの会見は、NHKの記事(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240717/k10014513681000.html)の引用です。
1回目の投票から朝比奈さんの作品と、松永さんの作品が票を集めた。最終的には2作とも受賞がふさわしいだろうということになった
最初の投票から一騎打ちだったようです。
『サンショウウオの四十九日』について、
小説にしかできない難しい設定を準備した作品で、文学的な野心が評価された。すごく極端な人間の条件が前提になっているにもかかわらず、ちょっと明るさを持って描くことに成功していた。これはこの小説の達成ではないかというポジティブな意見があった
作品が暗くないんですよね。
厳しい境遇に見えるのに、主人公が卑屈じゃないところが良いです。
著者の朝比奈秋さんが、受賞記者会見で、
この作品は5、6年前に書き始めて1年か2年で一度、書き上げたが、その時はまだ完成とはいえないと思った。
一度書き上げた作品を、「まだ完成とはいえない」と発表せず、何作か小説を書いた後に再びチャレンジして書き上げたというのが、すごいです。
『バリ山行』について、
登場人物の造形や登山の描写に説得力があって、特に自然の描写は見事に描かれていた。小説はいくらでも奇をてらって書けるものだが、地に足着けて書いていることが高く評価された
他の候補作と比べると、リアリズムです。
受賞予想からは外しましたが、受賞してほしいと思ってた作品なので、良かったです。
著者の松永K三蔵さんが、受賞記者会見で、「この先もお仕事を続けられていきますか」という記者からの質問に、
働きながら書いていきたいと思ってます
と答えてました。
働きながら、その中で学ぶこと、吸収することも非常に多くありますので
とおっしゃってましたが、純文学作家で専業は厳しいのかもなと、勘ぐってしまいました。
今回の選考について、私は順当だと思いました。
受賞作を聞いたとき、意外とは全く思いませんでした。
予想は外れましたが、良かったです。
『サンショウウオの四十九日』の感想はこちらです。
『バリ山行』の感想はこちらです。