余計な装飾はいらない
漫画のスラムダンクは読みましたし、好きな作品です。
映画で描かれた山王工業高校との試合は、漫画で描かれてます。
よって、勝敗も展開もわかります。
「THE FIRST SLAM DUNK」は、好きな作品ではありませんでした。微妙でした。
主人公が宮城リョータとわかったとき、なぜ桜木じゃないのか、疑問に思いました。
漫画の主人公は、桜木花道だからです。
「THE FIRST SLAM DUNK」は、桜木ではない、宮城の物語でした。
宮城リョータは沖縄出身で、中学生のとき、神奈川県に引っ越してきました。
宮城の過去が、山王戦の間に回想として入ります。
回想が入ると、試合のテンポが落ちます。
回想が魅力的でないと、回想シーンが頭に入ってきません。
回想じゃなく、早く試合の続きを見せてほしいと思うからです。
逆に、回想シーンが良いと、試合に厚みが出ます。
この試合にかける思いや、山王戦まで来た経緯が伝わるからです。
宮城と三井を描いてる回想シーンは、顕著でした。
- 中学時代、宮城が三井と1on1をする
- 高校時代、宮城が三井たち集団に暴行されるが、宮城は三井にだけ反撃する
漫画になかったシーンでも、宮城と三井の部分は良かったです。
宮城が主人公ですから、家族の話も悪いわけではありません。
ただ、父が死亡し、兄も死亡するのは、やりすぎだと思いました。
宮城が兄に、「もう帰ってくるな」と言って、本当に帰ってこれない人になるのは、ありきたりに感じました。
中学生の兄が、生前「山王を倒す」と示してたのも、無理矢理というか、こじつけというか、本当らしく感じませんでした。
監督・脚本が原作者じゃなかったら、批判されてたのではないかと思います。
では、原作者だったら許されるのでしょうか。
許されるのでしょう。
原作者が描いてるんだから、これが本物の物語だと。
漫画で描かれてる箇所が、映画ではカットされてる部分があります。
それは気になりませんでした。
しかし、漫画で描かれてない部分が映画で描かれてることに、余計だと感じるところが多くありました。
山王戦をメインに回想を入れるなら、選手同士の過去を描くのは良いと思います。
宮城視点で、他の選手との過去を描くのは良かったです。
しかし、宮城視点で家族の話が始まったとき、早く山王戦に戻ってほしいと思いました。
私は宮城の家族が見たいのではなく、今の試合や試合に出てるメンバー同士の過去が見たいのだと思いました。
宮城リョータの過去や内面を描くことで、物語に仕立て上げました感が、前面に出てました。
亡き兄の目標(山王を倒す)を自ら達成することで、兄の不在(亡霊)から立ち直るという物語。
私がスラムダンクに、良い話的(お涙頂戴的)な物語を求めてなかったから、拍子抜けしたのかもしれません。
山王戦の白熱する試合をずっと見ていたかった。
どういう思いで試合に臨んでるかは、本作には余計だと感じました。
宮城の内面描写はなくていい、葛藤は描かなくていいと思ってしまいました。
それは私が漫画で、山王戦まで至った背景を知ってるからでしょうが。
余計な装飾はいりません。