いっちの1000字読書感想文

一応平成生まれ。小説やビジネス書中心に感想を書いてます。

『ナイス・エイジ』鴻池留衣(著)の感想【真偽不明なタイムトラベル】

真偽不明なタイムトラベル

2009年のネット掲示板に、

2112年から来たけど、答えられる範囲で質問に答える

というスレッドが立ち上がりました。

そこで予言された3つが、後になって的中したと判明します。

  • 大震災と大津波
  • 長期の自民党政権
  • 日本のある一帯が立入できなくなる

予言的中により、スレッドを立ち上げた「2112氏」が有名になって、掲示板への再登場が熱望されます。

その結果、「時間旅行者をもてなすスレ」のオフ会に、「2112氏」が参加することになりました。

オフ会当日の2016年12月。主人公のAV女優は、オフ会に参加します。

そこで、主人公の孫だと名乗る青年(=自称2112氏)に会います。

未来からタイムトラベルしてきたと言うのです。

主人公は、真偽がわからぬまま、自宅マンションに住まわせます。

以下に興味がある人におすすめです。

  • タイムトラベル
  • ネット掲示板
ナイス・エイジ

ナイス・エイジ

  • 作者:鴻池 留衣
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2018/01/31
  • メディア: 単行本
 

タイムトラベラーに振り回される人々

「2112氏」に振り回されるスレの住人たち。

7年経っても、タイムトラベルの真偽はわかりません。

なぜ、そこまで振り回されるのでしょうか。

未来からタイムトラベルしてきたとしても、それがでっち上げられた嘘だとしても、

スレの住人の人生には影響はないのにです。

タイムトラベラーは、やじうまに構うためにタイムトラベルしたわけではないからです。

「2112氏」の考えは、

タイムマシンとして世に広く出回っているあの機械の正体とは、使用者の肉体を分解してしまう装置なのだ。(p.41)

そんなリスクを冒すのですから、赤の他人に関わってる場合ではありません。

なのに人々は、スレッドの書き込みに一喜一憂します。

どういう心理なのか、考えられるのは3つです。

  1. タイムトラベラーがいた事実に立ち会いたい
  2. 自分もタイムトラベルできるかもしれない
  3. タイムトラベルの真偽よりも雑談を楽しみたい

1は自慢、2は期待、3は暇つぶし。

3の動機が最も強そうで、単純に楽しいからなのだと思います。

ネット上で繰り広げられる匿名の言葉には、責任がありません。

責任を離れ、一つの話題で盛り上がる心地よさがあるでしょう。

人々の書き込みは、振り回されているのではなく、振り回しています

匿名だからこそ何でも書けるし、真偽は確かめようがありません。

以下は、タイムトラベルで生じる無限の未来についての書き込みです。

枝分かれする無限の未来なんて、今に始まったことじゃなくて、タイムトラベルをしようがしまいが目の前で、目には見えないけど常に発生しているわけだろ?(p.61)

つかみどころがないし、つかもうとすること自体、無意味な気がしてきました。

ナイス・エイジ

ナイス・エイジ

  • 作者:鴻池 留衣
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2018/01/31
  • メディア: 単行本
 

調べた言葉

  • キュロット:半ズボン式にすそが分かれたスカート
  • 俄か:突然