マイノリティの断片集
マイノリティと呼ばれる方々が、インタビュー形式で語ります。
- 日系南米人のゲイ
- 男の感覚を捨てたくないニューハーフ
- 摂食障害の女性
- シングルマザーの風俗嬢
- 元ホームレスのおっちゃん
この人たちの生活の一部を、垣間見ることができます。
私たちは、他人の人生の記録や時間、感情、経験を、語りを通して共に分かち合うことができます。生活史を読むことは、私たちが生きなかった別の私たちの人生を共有することなのです。(p.ⅴ)
そういう世界が確かにあるという、生々しい現実を読者に突きつけます。
マイノリティと呼ばれる人生の語りに興味がある人におすすめです。
この人たちじゃなくて安心した
読んだ後、大きなため息が出ました。
内容が重かったからだけではありません。
自分の人生と比べ安心したからです。
良くないことでしょうが、
自分がこの人たちじゃなくて良かったと思ってしまいました。
ゲイも、ニューハーフも、摂食障害も、風俗嬢も、ホームレスも、
境遇がみんな辛いからです。
同時に、自分も何かをきっかけにマイノリティになる可能性はあると感じました。
性転換したニューハーフの語りです。
普通の人たちも、例えばセックス面において、何とかフェチだったりとか、癖だったりとか。私らはそれが同性愛であったりとか、お化粧したりだとか、体を変えたりとか、これも癖のひとつよね。みんな癖を持ってるよね。だからストレートの人たちは私たちと分けたがるけども、私から見てみると「一緒やん」て。(p.104)
一方で、被害者ぶっている語りもありました。
シングルマザーで風俗嬢の語りです。
結婚するとしたら、ちょっとぐらい我慢してもお金持ちを。あはは。うん。今までほら、大変な思いしたから、やっぱりお金に苦労してきた人間は、お金、で解決できるわけじゃないけど。それなりに、ね。愛情は後から付いていくじゃないですか。お金さえあればね。(p.189)
この考え方が嫌いなのは、
- 自分がお金持ちになる気はなく、他人任せ
- 被害者ぶった口調
- 自分がお金持ちに選んでもらえると思っている
からです。
風俗嬢とホームレスに関しては、甘えもあると思ってしまいます。
この人たちに寄り添うことはできません。反面教師です。
脱却するよう努力してないなら、被害者ぶるなと憤りすら感じます。
日系南米人のゲイの男性は、家族にゲイであることを告白できず、悩みます。
告白したら、家族から拒絶されるんじゃないかと恐れています。
まあよく、やるのは、(そのことについて)考えないようにすること。たまにお酒飲んで、おもっきし泣いて、あはははは。で終わり。また頑張るわ。(p.63)
素敵な考え方です。