いっちの1000字読書感想文

平成生まれの30代。小説やビジネス書中心に感想を書いてます。

『尾を喰う蛇』中西智佐乃(著)の感想【介護と戦争がリンク】(新潮新人賞受賞)

介護と戦争がリンク 主人公は35歳の介護福祉士で、病院に勤めています。 入居者の老人が、女性の身体に触れたり、暴力をふるったりすることに、苛立っていました。 老人が暴れたとき、主人公は力で抑えます。 そして、相手を暴力で封じ込むことに味をしめま…

『夢をかなえるゾウ3 ブラックガネーシャの教え』水野敬也(著)の感想【苦しみを楽しみに変える方法】

苦しみを楽しみに変える ストーリーが独立しているので、1や2を読んでいなくても楽しめます。 主人公は、OLです。 もし、私があと五歳若かったら、小さな努力を積み重ねながら人生を変えていくことができたかもしれない。 もう遅いと諦め、一発逆転を狙いま…

『改良』遠野遥(著)の感想【美しくなりたい男の凶器めいた語り】(文藝賞受賞)

美しくなりたい男の凶器めいた語り 主人公の大学生は、女装をします。 一度買ったウィッグが気に入らないから買い直したり、メイクを研究したりと、ストイックです。 男が好きなのかな? と思いますが、そうではありません。 私は、美しくなりたいだけだった…

『かか』宇佐見りん(著)の感想【かか弁という新しい方言】(文藝賞受賞、三島賞受賞、野間文芸新人賞候補)

かか弁という新しい方言 「かか」とは、母親です。 「かか弁」は、母親の使う独特な言葉です。 東北弁ではなく、博多弁でも関西弁でもありません。 最初は読みにくいですが、次第にこの語りに慣れます。 かかは、ととの浮気したときんことをなんども繰り返し…

『足立区島根町』北野武(著)の感想【ビートたけしの語り口】

ビートたけしの語り口 ビートたけしさんが、昔話をしているような語り口です。 読んでいると、たけしさんの声で脳内再生されます。 一番古い記憶は、母親におんぶされながら、近所のおばさんと会話したことだそうで、 「たけちゃんは誰の子?」と訊かれると…