いっちの1000字読書感想文

平成生まれの30代。小説やビジネス書中心に感想を書いてます。

『苦役列車(小説)』西村賢太(著)の感想【日雇い労働なのは理不尽か】(芥川賞受賞)

日雇い労働なのは理不尽か 19歳の主人公は、中学卒業以来、日雇い労働で生計を立てています。 港の物流倉庫で荷物を運ぶ、肉体労働です。 毎日仕事に行くわけではなく、金に困ったときに仕方なく行きます。 稼いだ金は、食事や酒、風俗代に消えます。 1万円…

『共喰い(小説)』田中慎弥(著)の感想【血は争えないのか】(芥川賞受賞)

血は争えないのか 男子高校生の主人公は、父と再婚の母との三人暮らしです。 生みの母は、近所で魚屋をやっています。右手首から先は、戦争でなくしました。 父は性行為のときに相手の顔を殴ります。 殴られたことがあるのは、 生みの母 再婚の母 近所で体を…

『リリイ・シュシュのすべて(小説)』岩井俊二(著)の感想【生きるか死ぬかの思春期】

生きるか死ぬかの思春期 リリイ・シュシュは女性歌手です。 彼女の歌に魅せられた主人公は、彼女について語り合うネット掲示板を運営しています。 この小説は、掲示板への書き込みだけで構成されています。 例えば、 《投稿者:サティ》7月11日(火)20時44…

『ベッドタイムアイズ』山田詠美(著)の感想【日本人女性と黒人兵の愛欲】(文藝賞受賞、芥川賞候補)

日本人女性と黒人兵の愛欲 主人公は、横須賀のクラブで、歌手やストリッパーとして働いています。 クラブでビリヤードに熱中する黒人男性を見つめていると、彼から目で合図を受けます。誘導されるがまま、誰もいないボイラー室へ行きます。 主人公が何か話そ…

『暗渠の宿』西村賢太(著)の感想【臆病さゆえのDV男】(野間文芸新人賞受賞)

臆病さゆえのDV男 30歳過ぎの主人公は、6歳下の女性と同棲します。 この主人公が、清々しいクズっぷりです。 300万円を彼女の親から借りる 彼女をパートに行かせ、主人公は働きに出ない 彼女の料理の段取りの悪さ(ラーメンの味が違う、麺をゆですぎ)に暴言…