いっちの1000字読書感想文

平成生まれの30代。小説やビジネス書中心に感想を書いてます。

『青が破れる』町屋良平(著)の感想【言いにくいことを人に伝えるときに】(文藝賞受賞)

ひらがな、カタカナを多用する文体

「あいつ、ながくないらしいんよ」

とハルオはった。

ハルオの彼女の見舞いにったかえりだった。

おれは、

ビョーキ?」

 といた。(p.9)

 本来、漢字で書くところを、ひらがなやカタカナが使われています

 その文体は芥川賞を受賞した『1R1分34秒』でも見られます。

  ひらがなやカタカナ表記だと、その言葉の響きを強く感じます

 「病気?」よりも「ビョーキ?」の方が、言葉が響いている感じがしませんか?

 以下に興味がある人におすすめです。

一言あらすじ

 プロボクサー志望の主人公は、友人から見舞いに付き合うよう言われた。行った先には、難病である友人の彼女がいた。

 

主要人物

  • 秋吉:おれ。プロボクサー志望だが才能がない
  • ハルオ:秋吉の友人。難病で入院している彼女がいる
  • 梅生:プロボクサー志望。才能がある

 

 言いにくいことを人に伝えるときに

 人に言いにくいことってありますよね。

 私は、人を怒るのが難しいです。

 怒られることよりも怒ることが苦手で、せいぜい笑みを浮かべて指摘するくらいです。

 ハルオの彼女は不治の病で入院しています。

 それを、秋吉に伝えるときにどうするか

ボチャ

という、かわいい音がした。横をみると、ハルオはいない。うしろ向きに、池に落ちていた。(p.10)

 ハルオは、明るくしようと、わざと池に落ちたのです。

 

 秋吉には「は?」と聞き返す癖があります。

 その癖をハルオは嫌っています。それを注意するときにどうするか

ハルオは ポケットからとりだしたのど飴をくれた

「は?ってすぐいうのやめえや。感じわるいで」(p.48)

 ハルオは言いにくいことを伝えるときに、何かを渡すのです。

 私も人に注意するときには、飴を渡そうと思います。

 

言いたいことを言える関係

 秋吉は、梅生にスパーリングでボコボコにされますが、言いたいことを言います。

たとえボコボコにされたはずかしさ、屈辱感があったとしても、

お前、捨てジャブがわかりやすすぎだし、リーチにあまえて距離がてきとうなんだよ」とかいえるようになった。

(中略)

才能ないからなー

 梅生には、そういうこともへいきでいえた。(p.90)

  • 自分が負けたのに、相手の悪いところを指摘する
  • 自分に才能がないと、相手に言う

 相手への信頼がないとできません。

 本書を読むと、信頼は、その場(ボクシングジム)ではなく、別の場所(プライベート)で育まれるものだと感じます。

 仕事終わりの小規模な飲み会で、仕事以外の話を同僚から聞くと少し信頼するのは、そのためでしょう。 

青が破れる (河出文庫)

青が破れる (河出文庫)

 

調べた言葉

穏当:穏やかで無理のないこと

餓える:不足を感じて、ひどく欲しがる

めざとい:見つけるのが早い

不興:興味がさめること

言外:ことばに表されていないところ