小説を書きたいけど、何から始めたらいいかわからない人におすすめ
本書は、以下のような構成になっています。
- 角田光代さん、辻村深月さん、誉田哲也さんへのインタビュー
- 小説を書く前にやること
- テーマやアイデアの出し方
- あらすじやストーリーの書き方
- 人物描写、背景描写の方法
- 推敲のやり方
- プロ作家になるには
見やすいレイアウトで読みやすく書かれていますので、小説を書きたいと思った人が、最初に手を取るのにおすすめです。
執筆をはじめるまでの流れ
感覚に頼って書き始め、最後までうまく書ききれるのは、天才だけでしょう。
普通の人は、執筆までの手順をたどるのがよいです。
- テーマを決める:いつも考えていること、世間に伝えたいことは何か
- アイデアを出す:テーマを常に意識しておいて、アイデアを集めておく
- ストーリーラインを考える:時系列の展開。似ている作品を参照するのもあり
- あらすじをつくる:ストーリーラインに具体的な肉付け。シーンごとに書く
- 登場人物を設定:人物の履歴を作成。おおげさなキャラクターを意識
- プロットをつくる:時間や場所の設定を書き、起承転結でシーンの順序を立てる
キャラクターの作り方
角田光代さんの登場人物の作り方が興味深いです。
主要な登場人物は、自分が苦手だったり、いっしょにいてイラッとしたりするような人を設定することが多いです。いいなと思える人を中心に置くと、私の正しいと思うことをその人が主張しはじめ、自分にとっての正義の話になってしまうんです。(p.6)
主人公が自分に似ている場合、この点に気を付ける必要がありそうです。
作家と主人公の距離が近すぎて、作家の言いたいことを主人公に代弁させていると読者が思ってしまうと、うっとうしく感じたり小説の世界に浸れなかったりします。
描写の方法
説明が続くより、その状況を読む方が臨場感がありますし、伝わります。
「語る」よりも「見せる」ための描写はどう書くのでしょう。
例えば、「すぐ到着した」を表すとき、
× もう終着駅に着いてしまった。あっという間の電車旅だった。
○ もう乗換駅に着いてしまった。まだ片方しか眉が描けていない……(p.121)
ありきたりの表現を使うより、その様子を描写した方が、鮮明に状況が伝わります。
小説を書くにはストックが欠かせない
小説を書くことは、アウトプットの作業です。アウトプットするには、インプットが欠かせません。知らないものは書きようがないからです。
小説、映画、漫画などに多く触れるとともに、気になったもの、場所、発言をメモする習慣をつけることが、作品を書く上で重要だと感じました。