数学が苦手な人におすすめ
数学ってなんで勉強しなければいけないんでしょう。
私は、高校の数学が全く分からず挫折しました。
そんな私でも楽しめた小川洋子さんの『博士の愛した数式』がきっかけで、本書を手に取りました。
感想はこちらです。
小川さんが『博士の愛した数式』を執筆する際に取材をした相手が、数学者の藤原正彦さんでした。その2人の対談の書籍化です。
藤原さんは言います。
純粋数学をやりながら、人類に役に立つかどうかなんて考えている数学者は、たぶん歴史上、誰もいないと思うんですよ。(中略)ただ、数学は圧倒的に美しいですからね。(p.20)
数学は役に立たないと、数学者が言っちゃってます。仮に役立つとしても、500年後とからしいです。
それなのに、なぜ数学をやるかというと、美しいから。
藤原さんが提示する数学の美しさは、数学の苦手意識を払拭させます。
小川さんは、数学が苦手な一人として、素朴な疑問を率直にぶつけます。
数学が苦手な人におすすめです。
友愛数の美しさ
『博士の愛した数式』でも登場した友愛数。自身を除いた約数を足すと、お互いの数になるという数字同士のことです。
例えば、220と284。
- 220の約数:1+2+4+5+10+11+20+22+44+55=284
- 284の約数:1+2+4+71+142=220
「友愛数」と名づけるセンスが、数学者が詩人であることの証しです。(p.50)
数学と友愛って相反しそうな言葉なのに、
友愛数と名づけられると、数字に親しみを感じます。
ひらめきでなく実験
数学を解くにはひらめきが大事で、それがすべてだと思っていました。
人間というのは、何もないところから新しいものを造ることはできないんです。(中略)真の独創というのはあり得ないんです。必ず他のものと比べてみるということしかできない。(p.100)
数について何かを発見するためには、数を転がして、ころころと手のひらで弄ぶことが一番重要なんです。(p.71)
何かを発見するには、うんうん唸っていないで、実験しようということです。
一所懸命考えて補助線を発見して、一気にゴニャゴニャしていたのがパシッといく。あの喜びは比較にならないものです。(p.166)
問題を解いていて、はっとなる瞬間ですよね。中学校の図形の証明問題を思い出しました。 合同だったり相似だったり、証明する要素を見つけたときは快感でした。
そういう快感って他にないかと考えていましたら、文章をうまく書けたときでした。
よい文章を書くために、文章を読むだけでなく言葉の実験に励みたいです。
調べた言葉
黄昏:夕暮れ
あつらえむき:希望にぴったり合っていること