魅力的には見えないのに
主人公は、40歳独身。自営業の建築士です。
結婚はデメリットしかないと考え、独身生活を謳歌しています。
自宅でワインを飲み、ステーキを食べ、大音量でクラシックを聴く。
聴きながら、指揮をするほどです。
体に気を使っているのか、牛乳と青汁は常備しています。
各話のタイトルが、桑野の主張です。
- 一人が好きで悪いか!!
- 好きなものを食って悪いか!!
- 好きにお金を使って悪いか!!
- 休日を一人で過ごして悪いか!!
偏屈なのか頑固なのか、どちらにしても、お近づきにはなりたくありません。
ですが、徐々に魅力的に思えてくるのです。
それがなぜなのか、考えていきます。
一言あらすじ
40歳の誕生日を迎えた桑野は、独身生活を謳歌している。結婚はデメリットしかないと、結婚する気はない。そんな中、腹痛で病院へ運び込まれた先に、独身で医師の夏美がいた。
主要人物
- 桑野:建築事務所を営む建築家。結婚する気はない
- 夏美:結婚したいが、お見合いはしたくない
- 英治:桑野の事務所で働いている
一度だけ流す涙
桑野は偏屈で、関わりを持つと疲れる人物です。
そんな人物が、一度だけ涙を流します。
11話の『花柄が嫌いで悪いか!!』です。
タイトルどおり、桑野は、家の壁紙を花柄にするのが嫌です。
客の要望でも、自分が良いと思う家しか造りたくありません。
ですが、同僚の意見もあり、花柄を入れることにします。
花柄が入ったデザインが出来上がったとき、桑野は言います。
俺がそういう仕事をしたっていうのは秘密だぞ。俺のキャリアには、なかったことにするからな。
しかし、花柄のデザインが、桑野の仕事としてネットにアップされてしまいます。
英治が内装業者にデザインをコピーさせたのがきっかけでした。
「役に立たない割に余計なこと言いやがって」と怒る桑野。
英治は「首にしてもらって結構ですよ」と事務所を出ていきます。
英治は内装業者に出向き、ネットに流した犯人を殴ろうとしたら、返り討ちに合ってしまいました。
病院に駆けつけた桑野が、ボコボコにされた英治に言います。「何やってんだ馬鹿!」
英治の返答が、桑野の心を揺さぶります。
自分のポリシー曲げて、花柄を入れることが、桑野さんにとってどれだけつらかったことなのか、わかるから。
(中略)
俺、桑野さんの部下です。桑野さんの味方です。
だから、俺のこといなくていいなんて思わないでください。
桑野は屋上で涙を流します。情が深い一面があったのです。
『結婚できない男』は、セリフの掛け合いが面白い一方で、ほろっと涙を誘うシーンもある、笑って泣ける作品です。