いっちの1000字読書感想文

平成生まれの30代。小説やビジネス書中心に感想を書いてます。

劇場版「鬼滅の刃」 無限列車編の感想【幸せな夢と残酷な現実】

 幸せな夢と残酷な現実

映画はアニメの続編なので、先にアニメを見ました。感想はこちらです。 

アニメは、1話から5話が好きでした

弱い主人公が、もがき苦しみ、決して諦めず、努力の末に認められる姿に感動しました。

残念ながら、アニメの6話以降は、5話までを超えませんでした。

アニメを見終わったときの私の心境としては、

――アニメの続編だから映画は観るけど、そこまでいいのかなあ

と、半ば疑っていました。

疑いは、映画開始早々に払拭されます。

以下、映画のネタバレを含みます。

ちなみに映画の内容は、コミックの7、8巻です。

鬼滅の刃 7 (ジャンプコミックスDIGITAL)

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列車の中にいた主人公は、いつの間にか催眠をかけられ、眠ってしまいます。

主人公が見る夢は、家族との暮らしで、一家団らんです。

夢の中では、鬼に殺されたはずの家族が生きていて、主人公を笑顔で迎え入れます

主人公は、家族が生きていた喜びで、泣いてしまいます。

家族は、主人公がなぜ泣いているかわかりません。

主人公は、夢の中だとわかりません。

ですが、家族は鬼に殺されたのだと思い出し、夢の中だとわかります

そして、ここにいてはいけないと、家族団らんの家を離れます。

家族は、なぜ主人公が家を離れるのかわからず、追いかけます。

主人公も、家を離れたくありません。家族と一緒に暮らしたいからです。

ですが、現実で家族は殺されたのだから、いるはずがない。だからここはおかしいと、今いる場所を泣きながら振り切ります

夢だとわかっても、

――ずっと、ここにいたいなあ

と、つぶやきます。

主人公の願いは、当たり前にあるはずだった家族との暮らしです。決して豊かとはいえない、平凡な暮らしです。

その暮らしを望む、切実なつぶやきが、胸に響きます

夢だとわかっても、夢を見続けていたいという気持ち。

家族が生きていたら、鬼に殺されていなければ――家族みんなで幸せに暮らせていたのに

もう頑張ったのだから、ゆっくり休みなよ、と言いたくなります。

家族に囲まれた優しい夢の中に、い続けてもいいじゃないかと思ってしまいます。

ですが主人公は、幸せな夢を自ら捨てます

夢から覚める手段は、残酷なものでした。

夢の中で自分を殺すというものです。殺すことで、現実に戻ってきます。

家族に囲まれた、幸せな夢の中の自分を、殺さなければいけない無常さ

夢から覚めた先に待つのは、家族が残虐され、妹が鬼に変化している現実です。

夢では人間の妹がいますが、現実では鬼になった妹を助けられるか、わかりません。

なのになぜ、主人公はそこまで頑張れるのでしょうか。

なぜ、夢の中で家族団らんをするより、家族が殺され、妹が鬼になった現実を選べるのでしょうか

私はそこまで頑張れません。もうだめだと思ったら、手を離してしまいたくなります。

主人公は諦めません。

諦めなかった先に、助けてくれる仲間がいます。励まし合える仲間がいます

家族は殺されてしまい、妹は鬼に変わってしまいましたが、決して諦めない主人公の周りには、共に戦う仲間がいます

鬼滅の刃 8 (ジャンプコミックスDIGITAL)

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