勝ち負けにこだわらない生き方
著者のワンさんは、イラストレーターと会社員のダブルワークをしていました。
ですが、40歳になる直前、会社を辞めました。
え、40歳で? って感じです。
ワンさんは、独身で一人暮らし。家は賃貸で、車は持っていないそうです。
とはいえ、仕事を辞めるリスクがわからないはずがありません。
会社が大嫌いになったとか、イラストの仕事に集中したかったわけじゃない。初心に帰ろうという気持ちが芽生えたわけでもない。
では、なぜワンさんは仕事を辞めたのでしょうか。
一度くらい勝ち負けにこだわらない生き方をしてみたかった。きっと、僕をがんじがらめにしている多くの問題から、一瞬でも離れてみたかったのだろう。
ワンさんは、
- 出世や昇給が「勝ち」で、
- 出世できなかったり給料が上がらなかったりすることを「負け」
と考えていた勝負から、離れます。
仕事を辞めた後、ワンさんの生活は、
正午をまわった頃に起床している。遅めの昼食を適当にすませ、のらりくらり遊ぶ。ビールを飲んだり、本を読んだり、たまに浮かぶアイデアを描き散らしたり……。そうこうしているうちに夕方になり、晩ごはんを食べてふとんに入る。
そんな生活を送るワンさんに、私はうらやましさを感じました。
ですが、自分も仕事を辞めてこういう生活をしたい! とは思いませんでした。
なぜなら、
- 貯金を切り崩す度に、お金がなくなる恐怖
- その恐怖を打破するためにお金を稼ぐという矛盾
に陥ると思ったからです。
私は、ワンさんのような、思い切ったことができない人間だとわかりました。
勝ち負けにこだわらず、思い切ったワンさんは、この本による印税で、お金が入ってくるというのに……
いけませんね。私はワンさんと勝負しているわけではありません。
それに、思い切りのない自分を悲観しているわけでもありません。
ワンさんの生き方にうらやましさを感じ、現状を変えられない自分との違いを嘆いても、辛いだけです。
私は私です。忙しすぎない仕事で、ある程度の収入をもらい、休みの日は自分の好きなことをしている今の生活が、嫌いではありません。
むしろ恵まれているのではないかと、再確認できました。
ワンさんは言います。
満足できる生き方とは、人生の大部分を占めるこんな普通のつまらない瞬間を幸せに過ごすことにあるのではないか?
「つまらない」と「幸せ」が共存する考え方に、驚きました。
自分の人生がつまらないと感じながら、同時に幸せだとも感じる。最強ですね。
- 仕事がつまらない
- やりたい仕事じゃない
と思ったとき、ワンさんは以下を自問してみるといいと言います。
本当に働きたいのか?
答えがノーなら、今の仕事の良い面を見て妥協する手もある。
僕も、やりたいかどうか以前に、仕事自体をやりたくなかったようだ。
シンプルに暮らしたい。ただそれだけだった。
私も仕事自体やりたくありません。
生活するためにお金が必要なので、仕事をしてます。
ただ、仕事がつまらなくても、別の瞬間で幸せを感じられたら、その仕事も捨てたもんじゃないなと、少しは思うことができそうです。