ナインティナインはダウンタウンの○○
本書は、1995年10月5日発行で、
週刊朝日の連載を、単行本化したものです。
ナインティナインについての記載があるのは、雑誌連載の最終回。
1995年7月14日号の週刊朝日だと思われます。
「ポスト・ダウンタウン」と言われているヤツらも、ちょっとダウンタウン風ってだけで、全然話にならないというか。なんやろ、いまの若い人みてたら、ダウンタウンの細胞の一部を培養したようなヤツらばっかり。ナインティナインなんて、ダウンタウンのチンカスみたいじゃないですか。悲しいですよね。
私が初めて本書を読んだのは、10年以上前でした。
そのとき感じたのは、松本人志はひどすぎる、でした。
理由がどうであれ、大きな影響力を持っている芸人が、後輩芸人を名指しで批判するのは、酷だと感じたからです。
1995年当時、ナインティナインの勢いはあったのでしょうが、「めちゃイケ」は始まっていません。
どうして松本さんは、同じ事務所の後輩を批判するのだろうと、疑問に思いました。
今回再読して、違う印象を受けました。
ナインティナインについて記載のある記事のタイトルは、「お笑いを愛する者として最後に若い人たちへ」。
若い人たちへのアドバイスといえるタイトルです。
僕なんか、この世界に入ったとき、世間がみんな北へ行ってるとき、あえて違う方向に走ろうと思った。「漫才ブーム」から「オレたちひょうきん族」の方向を否定した。それはすごい怖いことやし、大変なことやけど、そのかわりこっちに目を向けさすことができたら、ダントツですよね。なんでそうせんのかなあと思って。
松本さんは、「ナインティナインなんて、ダウンタウンのチンカス」と言いたいのではなく、「ダウンタウンと違う方向に走ればダントツになる可能性があるのに、なぜそうしないんだ」というアドバイスだったのかもしれません。
結果的に、「めちゃイケ」でのナインティナインは、「ダウンタウンの細胞の一部を培養したような」芸人ではありませんでした。
「めちゃイケ」のオファーシリーズは、岡村隆史さんにしかできない企画を次々実現しました。
- SMAPのコンサートに乱入
- 27時間テレビでボクシング対決
- オカザイル
私が特に好きなのは、
- 一般人の結婚披露宴の司会
- ライオンキングの出演
笑いだけじゃなくて、ひたむきに努力する岡村さんの姿が描かれていて、泣けるんですよね。
私はめちゃイケを見て育ってきました。
雑誌掲載当時(1995年)のナインティナインはわかりません。
私が本書を初めて読んだのは2000年以降なので、ナインティナインはすでにスターでした。
松本さんが連載をしていた当時のナインティナインは、「ダウンタウンの細胞の一部を培養したような」芸人だったのかもしれません。
お前らはこっちじゃない、違う方向へ行けという叱咤激励。
だから松本さんは、提言したのかもしれません。