いっちの1000字読書感想文

平成生まれの30代。小説やビジネス書中心に感想を書いてます。

本について本音で話すのが難しい理由【相手と自分に気を遣う】

相手と自分に気を遣う

以前、好きな小説家についての記事を書きました。

読んでくださった方から、以下のような質問を受けました。

「本について本音で話すのは、気を遣うから難しいのです。」について、もっと詳しく知りたいです

面白い質問です。

本について話すことを、掘り下げて考えたことはありませんでした。

「本については本音で話さない」と、ブレーキを掛けていました。

ご質問をいただいた良い機会なので、整理してみます。

「本について本音で話すのは難しい」のは、気を遣うからです。

誰に気を遣うかというと、「相手」と「自分」です

相手とは、ネット以外の、リアルな人間です。

ネット(ブログ等)で発信しているのは本音です

なぜ、生の人間には気を遣うのでしょうか。

一方的な発信ではなく、直接的な対話だからです。

自分が話した内容に、必ず返答が返って来ます。

「好きな作家は誰ですか?」の質問に、

「町屋良平さんです」と回答した場合、

想定される返答は、

  1. 初めて聞きました。おすすめありますか?
  2. そうなんですね。どんな作家さんですか?
  3. そうなんですね(質問なし)
  4. 芥川賞取った作品は読みました
  5. 『ほんのこども』読みました

と、5パターンあります。

次に私が返答する番です。

  1. 読みやすいのは芥川賞取った『1R1分34秒』ですね
  2. 青臭い作品から難解な作品まで幅広いですね
  3. ○○さんは最近良かった本ありますか?(質問返し)
  4. 『1R1分34秒』ですね。どうでした?
  5. 『ほんのこども』はどうでした?

盛り上がりそうな会話は4と5ですが、そんな会話になったことはありません。

『ほんのこども』(町屋作品でかなり難解な作品)について相手に語られたら、私はついていけません。

このように、会話一つとっても言葉を選ぶ必要があるので、気を遣います。

好きな作家を「町屋良平」と答えるとき、芥川賞作家だから名前を出せるとも、思っています。

直近で読んだ小説を語りたいときもあるでしょう。

最近では、グレゴリー・ケズナジャットさんの『開墾地』が良かったですが、話題には出しにくいです。

相手に合わせ、相手に伝わる返答をしてしまいます。

  • オタク(特殊な人)に見られたくない
  • 自分のことしか話さない人と思われたくない

言いたいことを抑え込むのは、自分にも気を遣っている証拠です。

漫画にも同じことが当てはまります。

  • なるたる』が好きなのに、無難に『スパイ・ファミリー』と答えてしまう
  • ルックバック』ではなく、『チェンソーマン』と答えてしまう

本に限らず、リアルでは本音で話すのが難しい。

ブログでは、気を遣うことなく発信できるので良いです。