担任教師の存在
「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」を略したのが「俺ガイル」。
略し方は、好きではありません。
視聴する気力をなくしそうで、もったいないです。
オタク臭が強く、新規参入を寄せ付けない略称です。
では、どんな略称なら良いかというと、略さなくていいかなと。
やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。
これで良いです。
タイトルで視聴意欲が削がれるのはもったいないです。
私がタイトルにこだわるのは、アニメが面白かったからです。
「とらドラ!」が面白く、他に同じような作品がないか探して出てきたのが本作でした。
正直、タイトルで視聴するのをためらいました。
「俺ガイル」という略称を聞いたことはありましたが、視聴意欲がわきませんでした。
3話まで見ようと思って重い腰を上げましたが、3話で見るのをやめようかとも思いました。
見続けたのは、面白かったのもありましたが、見る時間があったからです。
時間があったので、4話以降も見て、面白さを少しずつ感じ始めました。
最後まで見ようと確信したのは、7話です。
主人公は男子高校生で、友達と言える人がいません。
担任の女性教師が見かねて、奉仕部へ入部させます。
奉仕部は、生徒の依頼を受けて活動する部活動です。
主人公の他に部員は、同学年(高校2年生)の女子2名。所属部員3名の部活です。
その奉仕部が、小学生の林間学校に協力する話が、7話です。
林間学校でのボランティアは、奉仕部以外にも高校生がいます。
他の高校生たちと仲良くするのは無理だと言う主人公に、担任は言います。
仲良くする必要はない。うまくやれと言っているんだ。敵対でも無視でもなく、さらっと無難にやり過ごす術を身につけたまえ。それが社会に適用するということさ。
敵対でも無視でもなく、無難にやり過ごす術を身につけることが、社会に適応すること。
確かにそうだなと感心しました。うまくやるとは、仲良くするわけでもないし、喧嘩するわけでもない。
うまくやるとは、やり過ごすという言葉に近い気がしました。
その感覚をアニメで味わえて、この作品は普通とは違うかもしれないと思いました。
面白いだけでなく、自分に何か影響を与えそうな作品だと感じました。
要因は、教員が絡んでることです。
登場人物が生徒だけでは得られない視点を、教員を出すことで、新たな視点が入ります。
主人公は、自分が傷ついたとしても、依頼を実行します。
自分が悪者役になっても、依頼のためならやります。
そのやり方は、生徒たちに嫌われます。嫌なやり方だからです。
しかし、教師は違います。教師は言います。
誰かを助けることは、君自身が傷ついていい理由にはならないよ。
(中略)君が傷つくのを見て、痛ましく思う人間もいることにそろそろ気付くべきだ。
教師の発言があるから、主人公は救われます。
ただの嫌な奴には見えません。
もし私が若い頃にこの作品を見たら、「自分の学生時代にもこんな教師がいたら良かったのに」と思ってたでしょう。
「こんな先生がいたら、自分の人生も変わってただろうに」と。
ですが、30代の私が見たとき、「こんな教師みたいな人間になりたい」と思いました。
甘やかすでもなく叱るでもなく、先を照らせるような存在になりたいと思いました。