いっちの1000字読書感想文

一応平成生まれ。小説やビジネス書中心に感想を書いてます。

『改良』遠野遥(著)の感想【読ませる文章】(文藝賞受賞)

読ませる文章

一気に最後まで読ませる文章です。

断片的に描かれる語りは乾いていて、

その断片が、のちに結びつくさまに、面白みを感じます

例えば、小学生のときに通っていたスイミングスクールについて、

私は喘息持ちで、水泳をやらせると心肺機能が鍛えられて喘息が治るという話をどこかで聞いてきた親が、強制的に私をスクールに通わせ続けた

と、強制的に通わされて、親に反感を覚える一方で、

大学生になった主人公は、道で声を掛けられた男から暴力を受けて、せきが止まらなくなり、喘息が治る前のことを思い出しながら、

私のことを思ってスイミングスクールに通わせてくれた親への感謝が唐突に溢れ、これまでとは違う種類の涙が流れ出した。

感謝の涙を流します。暴力を受けている最中に思い出していることに、おかしみを感じます。

他にも、スイミングスクールは、作品のタイトルにしてもおかしくないくらい、インパクトを持っています。

小学生のとき、スイミングスクールで、同い年の友達ができます。

その友達は、プールの中でこっそり下半身をさらけ出していることを、主人公に報告します。

ある日、その友達と、公園で性行為をしている男女を盗み見ていると、友達から性器を口に含むよう指示されます

性的な表現が多いので、抵抗がある方もいるかと思います。

読ませる文章なのですが、性的描写が多いので、人に勧めたいとは思いませんし、この作品を好きだと言う女性がいたら、驚くでしょう。(私は好きな作品ですが)

主人公は美しくなりたいだけです。女装までして美しくなりたい理由は、よくわかりません。果たして主人公が美しい姿なのかもわかりません。(たぶん美しくないでしょう)

ただ、美しくなった自分の姿を、誰かに見てもらって、認めてもらいたい

女性になりたいわけでも、

男性に性的欲求を持っているわけでも、ありません。

なのに、小学生のときには同級生の男の子に、

大学生のときには道で声を掛けられた男に、性的な強要を受けます

主人公は、全く望んでいないことです。

ですが、主人公のサインがきっかけとも言えます。

大学生のときに道で声を掛けられたのは、主人公の女装がきっかけで、

小学生のときに同級生に誘われたのは、主人公の「なんで女子と男子で水着の形が違うんだろう」という発言がきっかけとも言えます。

私は、

  • 小学生のときに友達から受けた性的強要の後
  • 大学生のときに道で声を掛けられた男から受けた暴力の後

を、読みたいと思いました。

  • 小学生で性的強要を受けた後、主人公の精神状態はどうなったのか
  • 大学生で男から暴力を受け、ぼろぼろになった女装の姿で女友達の家に行き、女友達との関係はどうなったのか

が、気になりました。

改良

改良

  • 作者:遠野遥
  • 発売日: 2019/12/13
  • メディア: Kindle版