詩と小説の書き方
感想①はこちらです。
町田さんには、「おもろい詩の四条件」があるそうです。
- 感情の出し方がうまい
- 調べ(調子で持っていく、音楽的)
- そいつ自身がおもろい
- 書かれている内容が正しかったり、役に立ったりする
反対に、「おもろない詩」について。
「俺にとって重大なことってなんやろう」と考える。実は、これが九割の詩がおもろない原因なんだろうと思うんです。人間にとって何が一番重大か。それは「俺が存在していることやんけ」と。
その重大なこと(自分が存在していること)を書こうとすると、「私」「私」「私」「私」となってしまい、おもしろくなくなると、町田さんは言います。
「自分というものの生と死は途轍もない事件、だからそこにとてつもないことが起こっている、それを書けばいい」。そのことにどんどん拘泥していって、技術がうまくなって、大仰な詩になる、これがつまらない。
町田さんは、「おもろい詩の四条件」の、どれも技術的にうまくなろうとしてないそうです。ちょっとそこが、わからなかったです。
「おもろい詩の四条件」を自分で定めているのに、そこを追求しない理由が、私にはわかりませんでした。
町田さんは、自分に対する途轍もない拘泥も外して書いているそうで、結果にアホみたいな詩になっていると言います。
アホみたいな詩とは言っていますが、アホな詩だとは思っていないでしょう。
大仰でつまらない詩より、良いと思っているはずです。
「おもろい詩の四条件」を満たした詩よりも、「アホみたいな詩」の方が良いと思っているかもしれません。
それなら、「おもろい詩の四条件」を追求しない理由もわかります。
結局、詩をどう書けばいいのか。以下は私の解釈です。
- 存在、死、私、世界に、こだわらない
- 自分の面白いと思うことを、格好つけずに思ったまま書く
これらは、小説の書き方にも当てはまると感じました。
町田さんは、文章をうまくなるにはどうすればいいかの質問に対して、
本を読む以外には何もない。それ以外はない
と徹底しています。
町田さんが文体でチェックしているポイントは3つあるそうです。
- 自動的な、オートマチックな言葉遣いになっていないか
- ひたすら新奇な言葉を求めるんじゃなくて、古さもあって、自分がその言葉をどこまで本当に理解して使っているか
- オリジナリティに拘泥しない、憑依を恐れない
町田さんがオリジナリティに拘泥しないって言うのは、意外でした。
どうやって面白い文章を書けばいいのでしょうか。
「本当のことを書くこと」なんです。本当の気持ちを、そのときどきの本当の気持ちを、書くことなんです。
ですが、本当の気持ちをダイレクトに書いている人は、ほとんどいないと言います。
自分の文章的な自意識と、普通という、社会とか世間の自意識みたいなものを勝手に意識して、勝手に意味なく忖度して、そこにたどり着かない。自分の本当にたどり着かないんです。
かっこいいことを書こうとしてしまうんですね。私がそうです。うまいことを言いたいし、役に立つことを言いたいと、思ってしまします。
感想③はこちらです。