小説家として生きる方法
どうやって小説家として生きるかが、著者の経験をもとに、書かれてます。
この方の言葉は信用できると思いました。
例えば、
私は小説執筆を文学追及ではなく、独りで出来る職業として、つまり生活の糧=金銭を得る途として選択し、現在に至ります。
名誉とか憧れではなく、生活の糧として、小説家を職業を選んでます。
他にも、花村さんが幼いころ、カトリックの神父に言われた言葉で、
「いいかい、一郎。じつはね、我々ラテン語圏の人間は主語の呪いを受けているんだよ」
一郎は私の本名です。
「一郎」という名前を出さなくても、神父の言葉は伝わります。
しかし「一郎」という名を出すことで、神父の言葉に真実味が増します。
この著者は本当のことを書いてると、信用に足ります。
なので、著者の強烈な言葉でも、大げさではなく、事実を述べてるのだろうと伝わります。
では、どうしたら小説家として生きていけるか。
表現衝動が尽きず、無限に書きたいことがあり、しかもその虚構に需要がある人だけが生きていける場所
- 無限に書きたいこと(虚構)がある
- 書いたこと(虚構)に需要がある
それでないと、小説家として生きていけないわけです。
小説家に必要なことがまとめられてます。
表現したいという湧きあがる常軌を逸した衝動および情動と、冷徹に虚構を見据え構築する知的能力、なによりもオリジナリティ。汲めども尽きぬ発想。そして細部に対する神経症的繊細さがなければ小説家という職業は成り立ちません。
さらには孤独に対する耐性。ひたすら座り続けて執筆する体力も重要です。
私自身に当てはめてみます。
- 表現したい欲求:○
- 虚構を構築する力:×
- オリジナリティ:×
- 尽きない発想力:×
- 細部への繊細さ:△
- 孤独への耐性:○
- 座り続けて執筆する体力:△
虚構を構築する力、オリジナリティ、尽きない発想力に、自信がありません。
どうすればいいのでしょう。
「書けない」「書くことがない」作家に、花村さんはアドバイスします。
貴方に必要なのは、これから死ぬまで執筆し続ける小説という表現に必須の背骨、主題を見つけだすことです。
私に必要なのも、これかもしれません。
実際に執筆しつつ(これが重要)頭の片隅で、常に自分の描く散文の根拠に据えるべき揺るぎなき主題はなにか、それを徹底的に考え抜きなさい。貴方自身が死に至るまで生涯用いることのできる根源的なテーマを必ず発見しなさい。
花村さんは、根源的なテーマ(主題)として、「生きることと死ぬこと」を見出したそうです。
根源的なテーマは、作家のオリジナリティにつながるでしょう。
「虚構を構築する力」は、書くしかないと思いました。
書き続けて力をつけるしかない気がします。
「尽きない発想力」はどうか。
ダメな例として挙げられてるのが、
「若いころ住みこみで新聞配達をして大学に通ったのだが、勉学と勤労の良質はじつに苦しいもので、それでも自身を叱咤鼓舞して新聞配達を終え、ふと見あげた山並みから昇る朝日の美しかったこと」といった愚にもつかない思い出話
正直、私は書いてしまいそうです。
「ふと見あげた山並みから昇る朝日の美しかったこと」は特に。
花村さんは、「陳腐な苦労話」として切り捨ててます。
私が自然保護を訴える作品を書くならば、徹底的に自然破壊する救いのない作品を書きます。
小説家は正論に堕落してはいけません。
正論の真逆を突き詰めることが、発想力の一助になるかもしれません。
当たり前と思われてることの逆をいくことで、新たな発想につながりそうです。
小説を書きはじめた貴方が表現の質を高めるためには、虚構に対する集中力を切らさずに細心の注意を払って細部を構築し、しかもたくさん書きなさい。
- 自分の背骨(主題)を探しながら書く
- 細部を手を抜かず書く
- 陳腐な苦労話を書かない
- 正論を書かない