小論文とは
大学入試で出題されることがある小論文ですが、本書は入試向けに書かれた本ではありません。自分の考えを言葉にして表現したい人におすすめです。
小論文とは、「なぜ」を考え、「なぜ」を書く、意見と理由の文章です。(p.62)
自分で考えたことを、自分の言葉で書く、シンプルですが難しいことです。
誰かの言葉をあたかも自分の意見のように言ったり、誰に向けて発信しているのかわからなかったりする文章では、自分の考えを書いているとは言えません。
考えるプロセス
小論文は自分の考えを書くものですが、考えるとは何でしょう。
「問い」を発見することです。(p.30)
「将来自分がやりたいことは何か」も問いですし、「明日の晩御飯何食べよう」も問いです。自分なりの問いを発見することが、考える出発点になります。
著者はこの時代に必要な力として、「自分の頭を動かしてものを考える力」を挙げています。
そのプロセスとして
- 「問い」を立てる(問題発見力)
- さまざまな角度から見る(多角的考察力)
- 筋道立てて検討する(論理的思考力)
- 自分なりの新しい考え方を打ち出す(独創性)
そのまま小論文を書くときの手順に使えそうです。
表現できる人とできない人の違い
私は、人前ですらすらと話している人を見ると、関心すると同時に感服してしまいます。あの人には敵わない、と。
その人と自分とで何が違うんでしょう。
センスではない。文才でもない。理系・文系でもない。単にアウトプットの場数の違いだ。(p.132)
すとんと腑に落ちました。思い返してみれば、人前でうまく話している人は、自分から積極的にそういう場に出ていました。逆に私は、人前に出ることを避けていました。
そうした蓄積が、差をどんどん広げ、気づいたら圧倒的な差になっていたのです。
場数を踏むことで変われるなら、最初は失敗しても仕方ないから開き直ろうと思いました。
才能は相手の中にある
私は、他人が自分より何か突出していると、「才能」という言葉で片づけてしまいます。「あの人は特別」と決めることで、「努力」することから逃げていました。
その割に、自分には別の何かがあると、信じ込んでいました。
天才を測るモノサシは脳の中ではなく、われわれの社会の中にある(p.113)
才能というのは、相手との関わりの中で、その相手の中にあるということです。
自分には何かあると自分だけで考え込んだって、それが果たして才能なのかはわかりません。
いろんな人に、自分のことを聞いてみるのがよさそうです。
調べた言葉
悲壮:悲しく痛ましいこと
はがゆい:思うようにならなくてもどかしい
気を揉む:あれこれと心配して悩む
岡目八目:当時者より第三者の方が物事の是非を見極められること