いっちの1000字読書感想文

平成生まれの社会人。小説やビジネス書中心に感想を書いてます。

『おとなの小論文教室。』山田ズーニー(著)の感想【自分の考えを表現したい人に】

小論文とは

 大学入試で出題されることがある小論文ですが、本書は入試向けに書かれた本ではありません。自分の考えを言葉にして表現したい人におすすめです。

小論文とは、「なぜ」を考え、「なぜ」を書く、意見と理由の文章です。(p.62)

  自分で考えたことを、自分の言葉で書く、シンプルですが難しいことです。

 誰かの言葉をあたかも自分の意見のように言ったり、誰に向けて発信しているのかわからなかったりする文章では、自分の考えを書いているとは言えません。 

おとなの小論文教室。 (河出文庫)

おとなの小論文教室。 (河出文庫)

 

考えるプロセス

 小論文は自分の考えを書くものですが、考えるとは何でしょう。

「問い」を発見することです。(p.30)

 「将来自分がやりたいことは何か」も問いですし、「明日の晩御飯何食べよう」も問いです。自分なりの問いを発見することが、考える出発点になります。

  著者はこの時代に必要な力として、「自分の頭を動かしてものを考える力」を挙げています。

 そのプロセスとして

  1. 「問い」を立てる(問題発見力)
  2. さまざまな角度から見る(多角的考察力)
  3. 筋道立てて検討する(論理的思考力)
  4. 自分なりの新しい考え方を打ち出す(独創性)

 そのまま小論文を書くときの手順に使えそうです。

 

表現できる人とできない人の違い

 私は、人前ですらすらと話している人を見ると、関心すると同時に感服してしまいます。あの人には敵わない、と。

 その人と自分とで何が違うんでしょう。

センスではない。文才でもない。理系・文系でもない。単にアウトプットの場数の違いだ。(p.132) 

 すとんと腑に落ちました。思い返してみれば、人前でうまく話している人は、自分から積極的にそういう場に出ていました。逆に私は、人前に出ることを避けていました。

 そうした蓄積が、差をどんどん広げ、気づいたら圧倒的な差になっていたのです。

 場数を踏むことで変われるなら、最初は失敗しても仕方ないから開き直ろうと思いました。

 

才能は相手の中にある

 私は、他人が自分より何か突出していると、「才能」という言葉で片づけてしまいます。「あの人は特別」と決めることで、「努力」することから逃げていました。

 その割に、自分には別の何かがあると、信じ込んでいました。

天才を測るモノサシは脳の中ではなく、われわれの社会の中にある(p.113)

 才能というのは、相手との関わりの中で、その相手の中にあるということです

 自分には何かあると自分だけで考え込んだって、それが果たして才能なのかはわかりません。

 いろんな人に、自分のことを聞いてみるのがよさそうです。 

おとなの小論文教室。 (河出文庫)

おとなの小論文教室。 (河出文庫)

 

調べた言葉

悲壮:悲しく痛ましいこと

はがゆい:思うようにならなくてもどかしい

気を揉む:あれこれと心配して悩む

岡目八目:当時者より第三者の方が物事の是非を見極められること