いっちの1000字読書感想文

平成生まれの30代。小説やビジネス書中心に感想を書いてます。

「伝説の一日 伝説の記憶」の感想【明石家さんまとダウンタウンのやりとり】

明石家さんまとダウンタウンのやりとり 「伝説の一日」とは、吉本興業創業110周年特別公演のタイトルです。 「伝説の記憶」は、「伝説の一日」の舞台裏を収録した映像です。 Amazonで視聴しました。 出演者の裏側を見られて良かったです。 特に、ダウンタウ…

【芥川賞予想】第169回芥川賞候補作発表、掲載誌まとめ(2023年上半期)

第169回芥川賞候補作発表 2023年6月16日(金)、芥川賞の候補5作品が発表されました。 受賞作の発表は、7月19日(水)です。 以下、候補作と掲載誌をまとめ、受賞予想をいたします。 石田夏穂『我が手の太陽』群像5月号 第166回の候補『我が友、スミス』に続…

『エレクトリック』千葉雅也(著)の感想②【ないはずのものがある】(三島賞候補、芥川賞候補)

ないはずのものがある 感想①はこちらです。 主人公の父は、独立して広告代理店を営んでいます。 メインの仕事は、地元のスーパーマーケットの折り込みチラシの作成です。 父の経営は、そのスーパーに依存しています。 スーパーマーケットから契約を打ち切ら…

『我が手の太陽』石田夏穂(著)の感想②【検査員の存在は何か】(芥川賞候補)

検査員の存在は何か 感想①はこちらです。 主人公は工事現場の溶接工です。 予定より早く来た検査員が、主人公の溶接が「不合格(フェール)」だったと知らせます。 検査員は加えて、これまでの主人公の溶接で、ギリギリの判定もあったと言います。 長く続け…

『我が手の太陽』石田夏穂(著)の感想①【工事現場の人のプライド】(芥川賞候補)

工事現場の人のプライド 主人公は、工事現場の溶接工です。 約20年働いてきて、自分の仕事に自信を持っています。 自他ともに認める、技術の持ち主です。 しかし、主人公の溶接が、検査で引っかかり、溶接をやり直すことになります。 なぜ欠陥が出たのか、自…

『それは誠』乗代雄介(著)の感想②【溺れてる人がいたらどうするか】(芥川賞候補)

溺れてる人がいたらどうするか 感想①はこちらです。 比喩的に、主人公は溺れています。 修学旅行の自由行動の1日で、叔父に会いに行くわけですから。 班を離れ、単独行動を希望する主人公。 毎日薬の服用が必要で、吃音持ちの「松」は、主人公への同行を希望…

『それは誠』乗代雄介(著)の感想①【著者の最高傑作】(芥川賞候補)

著者の最高傑作 掲載されている文學界の表紙に、 4人の若者のかけがえのない生の輝きをとらえた、著者の最高傑作! と書かれています。 出版社側が最高傑作と謳った作品で、最高傑作だった試しがあるでしょうか。 ですが、心配無用です。 乗代さんの小説はほ…

『##NAME##』児玉雨子(著)の感想【交換可能な名前】(芥川賞候補)

交換可能な名前 主人公のジュニアアイドル時代と、アイドルを引退した後の大学生時代を描きます。 帯には、 私の過去は、”現代の闇”なのか? でもそれは、あまりにまぶしい闇だった。 「現代の闇」とは、どういうことでしょうか。 セックスを強要されたりヌ…

『ハンチバック』市川沙央(著)の感想①【選評を読んで】(文學界新人賞受賞、芥川賞受賞)

選評を読んで ハプニングバーの潜入記事から始まります。 いきなり性的な表現からか……。 読み始めの印象はそうでした。 しかし、それは入院している人間が執筆している架空の記事だとわかります。 体験ではなく、創作か。 小説自体、創作なのですが、体験を…

『松本』松本人志(著)の感想【ナインティナインはダウンタウンの○○】

ナインティナインはダウンタウンの○○ 本書は、1995年10月5日発行で、 週刊朝日の連載を、単行本化したものです。 ナインティナインについての記載があるのは、雑誌連載の最終回。 1995年7月14日号の週刊朝日だと思われます。 「ポスト・ダウンタウン」と言わ…

高橋弘希×星野智幸 対談「解放をもたらし得る小説」の感想(『群像』2018年2月号)

解放をもたらし得る小説 「解放」とは何でしょうか。 この対談は、高橋さんの小説『日曜日の人々』の話がメインです。 『日曜日の人々』では、自助グループ(悩みや問題を抱えた人たちが集まる場)を描きます。 『日曜日の人々』の感想はこちらです。 作中で…

磯﨑憲一郎×乗代雄介 対談「小説のプランを信じ続ける」の感想(『文学界』2020年8月号)

小説のプランを信じ続ける 小説のプランを信じ続けるとは、どういうことでしょうか。 私には理解できませんでした。 少なくとも、小説を書くためのプロット(プラン)を信じ続けて書く、ということではないでしょう。 理解できなかったのに、なぜ感想を書く…

「受賞者インタビュー 無職の二年間が精神修行になった」の感想(『文藝春秋』2017年9月号)

無職の二年間が精神修行になった 沼田真佑さんが『影裏』で芥川賞を受賞したときのインタビュー記事です。 タイトルが強烈です。 無職の二年間が 精神修行になった どういうことなんでしょうか? 沼田さんは、約10年間働いた後に、無職になったそうです。 九…

国立国会図書館の近くに住みたい【ビジネスホテルに宿泊】

ビジネスホテルに宿泊 国立国会図書館の近くに住みたいです。 本、雑誌、漫画が読み放題 館内の端末で、ポチっと押すだけで、受付カウンターに資料が届く 調べものには、もってこいの場所です。 国会図書館のメリットはこちらで紹介しています。 国会図書館…

アニメ「サマータイムレンダ」の感想【マカロニえんぴつ「星が泳ぐ」のOPが良い】

マカロニえんぴつ「星が泳ぐ」のOPが良い 「サマータイムレンダ」は、2022年に放送された全25話のアニメです。 前情報は、 ループもの 「STEINS;GATE(シュタインズ・ゲート)」のスタッフがいる 私は、ループものが好きで、シュタインズ・ゲートも好きです…

『息』小池水音(著)の感想【息を止めたら】(三島賞候補)

息を止めたら タイトル「息」が、何を示すのか、考えました。 デビュー3作目のタイトルにしては、シンプルすぎると感じました。 タイトルだけで読もうとは、思えません。ストロングスタイルです。 私は、三島賞の候補になったから、読んでみようと思いました…

『エレクトリック』千葉雅也(著)の感想①【同性愛の目覚め】(三島賞候補、芥川賞候補)

同性愛の目覚め 主人公は、宇都宮に住む高校2年生です。 時代は1995年。 1978年生まれの著者自身の年代と合っています。 「エレクトリック」とは、 電気の、電気で動く、電動の(weblioより) という意味があります。 本作で言うと、 アンプ(主人公の父が製…

『浮遊』遠野遥(著)の感想【悪霊から逃げるゲーム】

悪霊から逃げるゲーム 主人公は女子高生です。 主人公は、父親と同じ歳くらいの男性のマンションで、暮らしています。 同居の男性の名は、「碧」(あお)。 年配の男性にしては、珍しい名前です。 主人公は、「碧くん」と呼びます。 なぜ、主人公が碧と暮ら…

『まっとうな人生』絲山秋子(著)の感想【『逃亡くそたわけ』の続編】

『逃亡くそたわけ』の続編 本書は、著者の小説『逃亡くそたわけ』の続編です。 『逃亡くそたわけ』は、主人公の女子大生が、入院中の病院から抜け出し、博多から鹿児島へ、車で逃亡する話です。 詳しい感想はこちらです。 『まっとうな人生』は、『逃亡くそ…

『逃亡くそたわけ』絲山秋子(著)の感想【精神病院からの脱走劇】

精神病院からの脱走劇 21歳女子大生の主人公は、入院中の精神病院から脱走します。 主人公と一緒に脱走するのは、名古屋出身のなごやん24歳。 なごやんも患者です。 21歳女性と24歳男性の、逃亡劇。 なごやんの車で、博多から大分、熊本、宮崎、鹿児島と走り…

『やまゆり園事件』神奈川新聞取材班 (著) の感想【入所者を助けたのに感謝されなかった】

入所者を助けたのに感謝されなかった やまゆり園事件とは、 2016年7月、神奈川県相模原市の知的障害者施設で起きた、殺傷事件です。 45人を殺傷、うち19人が死亡しました。 犯人(植松)は、事件のあった障害者施設の、元職員でした。 障害者施設に入職した…

『相模原障害者殺傷事件』朝日新聞取材班(著)の感想【同意の上での安楽死は否定できない】

同意の上での安楽死は否定できない 相模原障害者殺傷事件とは、 2016年7月、神奈川県相模原市の障害者施設で起きた、殺傷事件です。 45人を殺傷、うち19人が死亡しました。 被告は事件のあった障害者施設の、元職員でした。 被告は死刑になりました。 検察は…

『名場面で味わう日本文学60選』の感想【『蒲団』は勘違い小説の傑作】

『蒲団』は勘違い小説の傑作 作家、翻訳者、研究者(計6人)が、日本文学を10作ずつを選びます。 10作の名シーンを抜粋 シーンや作品を解説 抜粋シーンや解説により、読みたい本や再読したい本が増えました。 大江健三郎『新しい人よ眼ざめよ』 志賀直哉『城…

映画『デジモンアドベンチャー LAST EVOLUTION 絆』の感想【デジモン初代好きにも楽しめる】

デジモン初代好きにも楽しめる 私はデジモン世代です。 携帯ゲーム アニメ(初代、02) プレステのゲーム を通ってきました。 そんな私でも、楽しめました。 本作は、2020年に上映された作品です。 主人公は、大学生になっています。 周りは就職が決まったり…

『教育』遠野遥(著)の感想【小説はなんでもあり】(野間文芸新人賞候補)

小説はなんでもあり 小説はなんでもありと、思わせてくれる作品でした。 主人公は、全寮制の学校の学生です。 この学校では、一日三回以上オーガズムに達すると成績が上がりやすいとされていて、学校側から生徒にポルノ・ビデオが供給される。 どんな学校? …

『街とその不確かな壁』村上春樹(著)の感想③【子易さんという魅力的な人物】

子易さんという魅力的な人物 感想①はこちらです。 感想②はこちらです。 本作で魅力的な人物といえば、 子易(こやす)さんを挙げる人が多いと思います。 私も同感です。 子易さんは、主人公が館長として就任した図書館の、元館長です。 主人公を支えてくれる…

『街とその不確かな壁』村上春樹(著)の感想②【きみはどこへ行った】

きみはどこへ行った 感想①はこちらです。 主人公は高校生のとき、「きみ」に出会いました。 その後、「きみ」と連絡がつかなくなります。 主人公は「きみ」のことを忘れられませんが、どうすることもできません。 十年以上経ったある日、主人公は、別の世界…

『街とその不確かな壁』村上春樹(著)の感想①【40年越しの仕事の背景】

40年越しの仕事の背景 『街と、その不確かな壁』を前作 『街とその不確かな壁』を新作 とします。 今回は、新作の巻末「あとがき」についての感想です。 ネタバレは最小限です。 前作の感想はこちらです。 新作を読む前に、前作を読んだときの感想はこちらで…

『街と、その不確かな壁』村上春樹(著)の感想【新作『街とその不確かな壁』を読む前に】

新作『街とその不確かな壁』を読む前に 2023年4月13日発売の新作を前に、『街と、その不確かな壁』を再読しました。 タイトルがあまりにも似ています。 違いは「、」があるかないかだけ。 新作『街とその不確かな壁』のあらすじを抜粋すると、 その街に行か…

『破局』遠野遥(著)の感想【再読して面白い】(芥川賞受賞)

再読して面白い 読むのは、3回目か、4回目です。 3回以上読む小説は、ほとんどありません。 遠野さんの作品では、『破局』以外にも、『改良』を4回読んでいます。 どうしてそんなに読むのでしょうか。 たぶん、面白いからです。 たぶんとつけましたが、面白…