いっちの1000字読書感想文

平成生まれの30代。小説やビジネス書中心に感想を書いてます。

2019-01-01から1年間の記事一覧

「大森望×豊崎由美 文学賞メッタ斬り!スペシャル(結果篇)」の感想【第161回芥川賞、直木賞の選考委員をメッタ斬り】

番組概要 7月17日(水)に第161回芥川賞、直木賞が決定しました。 芥川賞:今村夏子『むらさきのスカートの女』 むらさきのスカートの女 作者: 今村夏子 出版社/メーカー: 朝日新聞出版 発売日: 2019/06/07 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 直…

「トイ・ストーリー4」の感想【自分が必要とされなくなったら】

3が好きな人も観た方がいい トイ・ストーリーは3で綺麗に終わったんだから、4はやる必要ない。 私はそう思っていました。 それに3は、子ども(持ち主)がおもちゃを卒業する話ですから、4でやることはないだろう、と。 しかし、ありました。 3は、子どもから…

『鳥打ちも夜更けには』金子薫(著)の感想【やりたくない仕事を辞めた先に】

仕事のスタンスが異なる3人 やりたくない仕事、辞めますか? 続けますか? 舞台は、日本ではないどこかの島。 「架空の港町」と呼ばれる島で、「鳥打ち」という仕事をしている3人がいます。 鳥打ちは、観光資源の蝶を守るため、鳥を駆除します。 草むらに隠…

『だれでも書ける最高の読書感想文』齋藤孝(著)の感想【読書感想文はめんどくさい】

読書感想文はめんどくさい 読書感想文=めんどくさいヤツ、でした。 問題を解いて終わりではないからです。 感想文には3つの手順があります。 本を選ぶ 本を読む 感想を書く 私は、夏休みの読書感想文を書けずに、ギリギリまで残しました。 それが今や、サイ…

第161回芥川賞・直木賞作品発表、会見、選評(2019年上半期)の感想

芥川賞は、今村夏子『むらさきのスカートの女』 むらさきのスカートの女 作者: 今村夏子 出版社/メーカー: 朝日新聞出版 発売日: 2019/06/07 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 今村さんは受賞すると思っていなかったようです。 (受賞会見から)…

「大森望×豊崎由美 文学賞メッタ斬り!スペシャル(予想篇)」の感想【第161回芥川賞、直木賞を徹底予想】

番組概要 7月17日(水)に第161回芥川賞、直木賞が決まります。 受賞作の決定前に、どの作品が受賞するかを予想するラジオ番組です。 出演者(予想する方) 大森望(書評家、SF翻訳家) 豊崎由美(書評家) 芥川賞候補作(5作品) 今村夏子『むらさきのスカ…

『ブログ飯 個性を収入に変える生き方』染谷昌利(著)【初心者向けブログで稼ぐ方法】

初心者ブロガーにおすすめ タイトルにあるブログ飯とは、ブログで飯を食うという意味です。 「飯を食えるブログ」って、どういうブログを言うのでしょうか? 答えは簡単です。 「たくさんのファンを、継続的に得ることができるブログ」、これに尽きます。(p…

文章の書き方の本おすすめ5冊【レベル別で文章力を上げる】

初級・中級・上級で文章力を上げる 書き方の本の感想を15記事、このブログで書きました。 特に参考になった4冊と、手元に置いておきたい1冊の計5冊を紹介します。 文章を書く機会は、さまざまです。 LINE、Twitter、ブログ メール、議事録、企画書、エントリ…

『百の夜は跳ねて』古市憲寿(著)の感想【鼻につく窓拭きの青年】(芥川賞候補)

死と隣り合わせの仕事 前作『平成くん、さようなら』では、安楽死を望む青年の話でした。 本作の主人公は、窓拭きの仕事をしている青年です。 青年の耳には、死んだ先輩の声が聞こえます。こんなふうに。 そこで生まれてはいけないし、死んではいけない。そ…

『ヤクルト・スワローズ詩集』村上春樹(著)の感想【ファンになった理由】

ファンになった理由 村上春樹さんはヤクルト・スワローズのファンです。 高校までは神戸に住んでいたので、阪神タイガースのファンだったそうですが、上京を期にスワローズファンになったそうです。 住んでいる場所から最短距離にある球場で、そのホームチー…

『ウィズ・ザ・ビートルズ』村上春樹(著)の感想【教科書に載ってほしい】

教科書に載ってほしい 教科書に載ったら、国語の問いが変わるかもしれません。 国語の問いには、回答の正誤を論理的に判定できないものがあります。 例えば、以下のようなものです。 この文章に託されている、戦争についての作者の姿勢はどのようなものか 月…

『むらさきのスカートの女』今村夏子(著)の感想【さらりと読めるが、ざらりと残る】(芥川賞受賞)

さらりと読めるが、ざらりと残る 今村夏子さんの作品は読みやすいです。 シンプルな言葉と気になる展開が、先へと読ませます。 ですが、読みやすい=あっさり、ではありません。 読み終わった後に起こる感情は、以下のようなものです。 結局何の話だったの?…

『新しい文章力の教室 苦手を得意に変えるナタリー式トレーニング』唐木元(著)の感想【最後まで読んでもらえる文章を書くには】

良い文章とは完読される文章 良い文章ってなんでしょう? わかりやすい 役に立つ 心地が良い 元気が出る 人によって、さまざまです。 なので本書では、定義を定めています。 この本ではおしまいまで通して、「完読される文章が良い文章」ということに設定し…

『ラッコの家』古川真人(著)の感想【人とのつながりの大切さ】(芥川賞候補)

現実と思考の行き来 主人公のタツコは、アパートで一人暮らししている高齢の女性です。 夫に先立たれましたが、姪やその子どもがよく遊びに来ています。 彼女たちから、タツコはタッコという愛称で呼ばれています。 たわいもない会話が弾み、笑い声が絶えま…

『自分を操る超集中力』メンタリストDaiGo(著)の感想【集中力を高める方法】

集中力が続かない人は必読 時間はあったのに、仕事が終わらない 本を読む(作業する)はずが、スマホをいじっている こんな経験ありませんか? 私はしょっちゅうです。 特に、 ブログを書くこと 小説を書くこと は、家で集中できないのでカフェでやっていま…

『五つ数えれば三日月が』李琴峰(著)の感想【大切な人が可哀そうであってほしい】(芥川賞候補、野間文芸新人賞候補)

5年間、会わずに思い続けること 5年間会わなかった人を、思い続けることができますか? この作品の主人公(女性)は、大学院時代から好意を寄せていた女性と、5年の月日を経て再会します。 その女性は結婚し、台湾で暮らしています。 日本で働く主人公は、彼…

「わたし、定時で帰ります。」の感想【毎日定時で帰る方法】

定時で帰るのは当たり前 タイトルにおかしみがあります。 「定時で帰ります」とあえて宣言しているからです。 ここから読み取れるのは、定時で帰っていない人が多いけど、私は定時で帰りますよ、ということ。 なぜ、そんな宣言をするのでしょう。 定時で帰る…

『カム・ギャザー・ラウンド・ピープル』高山羽根子(著)の感想【書かれていない大事なこと】(芥川賞候補)

読みやすいが難しい 『居た場所』に続き、芥川賞候補です。 前作同様、読みやすいです。 ですが、この作品が何を言いたいのか考え出すと、難しくなります。 本作は、主人公の幼少時代から社会人までを描いているのですが、 結局何が言いたいの? と、投げ出…

『青が破れる』町屋良平(著)の感想【言いにくいことを人に伝えるときに】(文藝賞受賞)

ひらがな、カタカナを多用する文体 「あいつ、ながくないらしいんよ」 とハルオはいった。 ハルオの彼女の見舞いにいったかえりだった。 おれは、 「ビョーキ?」 ときいた。(p.9) 本来、漢字で書くところを、ひらがなやカタカナが使われています。 その文…

『LIFE SHIFT(ライフシフト)』の感想【人生100年の生き方、働き方】

100歳まで生きるライフプランを立てていますか 本書の提言はこれに尽きます。 自分なりのライフプランを立てていれば、読む必要はありません。 400ページもある本書を読むより、ライフプランの実現に時間を割きましょう。 ですが、「貯金全然してないや」と…

『武器としての書く技術』イケダハヤト(著)の感想【読まれないブログを書いている人に】

ブログを書く人は必読 ブログを書く人は、何のために書いていますか? 伝えたいことがあるからですよね。 私もその一人です。 ブログを読んでくれた人が、何かを感じてくれたり、行動を起こしてくれたりしたらいいなと思って書いています。 ところが、簡単な…

【芥川賞予想】第161回芥川賞候補作発表・掲載誌まとめ(2019年上半期)

第161回芥川龍之介賞候補作決定 2019年6月17日、芥川賞の候補5作品が発表されました。 以下、候補作と掲載誌をまとめます。 今村夏子『むらさきのスカートの女』 第155回の候補『あひる』、第157回の候補『星の子』に続いて3度目の候補です。デビュー作の『…

「オードリーのオールナイトニッポン(ゲスト:くりぃむしちゅー上田晋也)」の感想【失礼な発言をするなら地獄に落ちる覚悟で】

失礼な発言をして先輩が怒っても、絶対に謝らない上田さん 「オードリーのオールナイトニッポン」の番組500回記念で、くりぃむしちゅーの上田晋也さんがゲスト出演しました。 若林さんは、上田さんとプライベートでも交流があります。 尊敬する上田さんに…

『レンファント』田村広済(著)の感想【生まれた子が重い皮膚病だったら】(文學界新人賞受賞)

子どもを可愛がれない 育児休暇を取った男性が、子の重い皮膚病と、妻との関係に悩みます。 妻は、子どもを可愛がっていました。 しかし、子が皮膚病とわかり、強い薬を塗っても治らない現状を見て、可愛がらなくなりました。妻の言葉です。 あんなに苦しん…

『人を操る禁断の文章術』メンタリストDaiGo(著)の感想①【人を動かす文章を書く方法】

何のために文章を書くか 文章を書く理由って何でしょう。文章を書く場面の一例を挙げます。 学校の作文、読書感想文 就職活動のエントリーシート 議事録 企画書 メール 共通するのは、読み手がいること。 読み手からすると、読みにくい文章は嫌です。 では、…

『逃げ水は街の血潮』奥野紗世子(著)の感想【自意識過剰な地下アイドル】(文學界新人賞受賞)

自意識過剰な地下アイドル 地下アイドル、SNS、裏アカウントなどを素材に、一気に突っ走る文章です。 キモいオタは最悪。でもキモいオタから「顔かわいい料」をもらって生きているわたしはもっと最悪のイマジナリー便所。 安いファミレスで、女子高生がぐわ…

【迷いと決断】本を読むようになったきっかけ

肉離れをして高校最後の大会に出られなかった 高校3年生の春に肉離れをしたので、最後の大会には出られませんでした。 県大会予選の400mリレーでのことです。 コーナーの中盤で、左太ももの裏から拳が飛び出るような感覚がありました。 バチッという音…

『しずけさ』町屋良平(著)の感想【引きこもりの青年と小学生が夜を越えてゆく】

なんとなく辞める 前作『ショパンゾンビ・コンテスタント』は、なんとなくピアノを辞めた大学生が主人公で、本作はなんとなく仕事を辞めた青年が主人公です。 共通点は、なんとなく。 挫折感や絶望を味わった末の決断ではなく、なんとなしの憂鬱と不眠で辞め…

『ショパンゾンビ・コンテスタント』町屋良平(著)の感想【才能がないとわかったときに】

才能がないとわかったときにどう生きるか 芥川賞の『1R1分34秒』は、ボクシングの話で、本作はピアニストの話です。 前作同様、主人公には才能がありません。今作は、愛もありません。 一方、主人公の友人には才能も愛もあります。 自分にないものを持ってい…

『その先の道に消える』中村文則(著)の感想【生きてていいんだと思える】

暗い作品があっていい 中村文則さんの作品は、暗いものが多いです。 この作品も例外ではありません。 しかし私は、暗い=悪いとは思いません。 中村作品の暗さには、奥深さがあります。 ファッション的な暗さではなく、「生きるとは何か」「人間とは何か」と…